ハーレースポーツスター真冬(氷点下)の始動性






雨の日風の日、台風でも雪が降っても年中バイクに乗っているのですが、コケないように事故を起こさないように常々細心の注意を払って運転しております。決してむちゃはしませんのであしからず。

さて、ハーレースポーツスターの始動性について。



思い返せば2006年式の我がスポーツスターに乗り始めた当初、真冬のエンジン始動には苦労していました。キャブ車なのでエンリッチナー(チョーク)を引いて始動を試みますがセルを回してもなかなかエンジンが掛からず、バッテリー上がりの恐怖との戦いに勝つか負けるか、セルを回すたびに力弱くなってゆくバッテリーの調子を窺いながら、毎回ヒヤヒヤしてたのを思い出します。

気温が氷点下になろうものなら、たとえエンジンが掛かったとしても今度はキャブが凍て付くアイシングとの戦いが待っています。スロットルバルブに霜が張り付き、吸気が阻害され、アイドリングが安定するまでものすごく時間が掛かり・・・、それでもなんとか微妙なアクセルワークを駆使し、エンジンの回転を維持して走り出していました。

現在はと言うと・・・。

気温3℃までならほぼ一発で始動、1℃であっても条件が良ければ一発で始動、一発目を外しても2〜3回セルを回せば難なく始動します。

0℃以下の氷点下においても特別苦労することなく、やはり数回セルを回せばエンジンが掛かり、アイドリングも素早く安定します。

マイナス3℃、あるいはそれよりも少し低い気温でもそれほど苦労することなくエンジンが掛かり、アイドリングも素早く安定します。
特に暖気も意識していません。

バッテリーをリチウムにしたり、点火系を強化したり、オイル粘度をシーズンに合わせて変更したり、キャブは45DEGREE製フルチューンCVだったり、しますが、真冬の始動性に関してはなかなか上出来ではないかと思っています。

そんなこんなで、ここ数年、チョークを引いた記憶がありません。チョーク、なくていいくらいです。実際、なくていいです。

冬のエンジン始動について考えると、まずは初爆、一発目(であっても二発目三発目であっても)、セルを回して確実に火が飛ぶかどうかが大事だと思います。まず火が飛ばなければ何も起こりません。

次にその火が燃料(燃焼室内の混合気)にうまく着火するかどうか、着火した炎が次々と燃え広がり、燃焼室内に淀みなく伝わっていってうまい具合に混合気が燃焼するか、が重要だと思います。

さらにその爆発のエネルギーがピストンを押し下げるときに、いかにスムーズなピストン運動につながるかが始動性の良し悪しを決めるのではないでしょうか。

整理すると

1. 点火
2. 燃焼
3. ピストン運動

この3点が滞りなくスムーズに、確実に進行して行けば、一年を通して始動性良好となるはずです。
あっ、バッテリーの調子がいいことが大前提ですね。

我がスポの場合

1. 点火

直接火花を出しているのは点火プラグですが、現在はブリスクプラグ(BRISK PREMIUM LGS SPARK PLUG / BOR14LGS)を使用しています。その前はNGKのイリジウム(DCPR7EIX)でした。
いずれにしても標準プラグと比べれば確実に着火性が上がり、始動性は良くなります。

プラスアルファでイグニッションコイル一次電圧昇圧回路を取り付けています。TWIN TOP製の「V-UP 16」と言うものですが、イグニッションコイルの直前に割り込ませることで、バッテリーからくる電圧(12v〜14vあまり)を常時16vに昇圧するデバイスです。
常に安定して高い電圧をイグニッションコイルに与えるので、結果として出口となる点火プラグの火花が安定し、力強くなります。

SHORAIのリチウムバッテリーも点火の力強さと安定性にひと役買っています。
SHORAIに限らず、このリチウムバッテリーというもの、どうも鉛のバッテリーとは流れる電気の性質が異なる気がするのです。電気が元気。
それはさておき、常識的な範囲内においては、鉛と比べると寒さには圧倒的に強いです。
クランキングパワーも十二分、重いクランクもグルングルン回ります。



2. 燃焼

現在愛用しているのは、広島45DEGREE製フルチューンCVなのですが、ノーマルのCVに比べて始動性が良いことに間違いはないようです。
そしてアイドリングが素早く安定する点は特筆しておきたいポイントです。

アイドリングが安定しないと何かと不便です。暖気に時間が掛かったり、バッテリーに負担が掛かったり。

フルチューンCVは走行性能もさることながら、どんなシュチュエーションにおいても「ものすごく安定している」のが凄いと思います。
その優れた安定性は、アルプスステルヴィオ峠標高2,800m走行時に実証済み。氷点下のシベリアでも実証済み。

燃焼室は特に加工などはしていません。ノーマルです。



3. ピストン運動

特別何かやっているわけではないのですが、強いていうと・・・

走行9万km時点で腰上オーバーホールついでにピストン周りとシリンダーにWPCなどの表面処理をしています。実験的に(自分のバイクなので・・・)、元々の、磨耗したピストンとシリンダーに表面処理をしたのですが(ピストンリングその他こまかな消耗品は新品に表面処理を施工)、現在走行距離18万km超、圧縮も規定値に収まっていてオイル上がり下がりもなく、特段ピストンシリンダーに起因する不具合はありません。

この時の表面処理が効いているのか、エンジンは軽くスムーズに回っていると思います。同じ年式のスポやもう少し高年式のスポと比べても振動が少なくスムーズです。なおかつ元気。

あとはピストン運動というかエンジン全体に影響するものとして、エンジンオイルがありますが、ここ数年使用しているオイルがかなり秀逸なのです。
ハーレーではあまり馴染みがないかもしれませんが、ファクトリーまめしばオリジナルオイル「FM-1.5」というオイルです。

このファクトリーまめしばオリジナルオイル、粘度が3種類あるのですが、15w50の「FM-2」と12.5w45「FM-1.5」を夏と冬で使い分けています。なので現在真冬の粘度は12.5w45。
フィーリングと性能の持続性が素晴らしく、海外ツーリングで1万km走ったFMオイルからモチュール5100 4Tに変えた時のフィーリングの悪化に愕然としたことが印象に残っています。

ピストン運動から始まり、エンジンすべての動きに影響するエンジンオイルですが、ファクトリーまめしばオリジナルオイルは抵抗感が希薄で、エンジンが冷えていても温まっていてもものすごくスムーズ、静かに、軽やかにエンジンが回ります。
それだけではないのですが、このオイルの美点を上げるときりがないのでまた後日改めて。



あくまで個人的に思うことですが、上記3点、点火・燃焼・ピストン運動のいずれかが具合が悪いと、冬場は特に始動困難に陥りやすくなるのではないでしょうか。その状態で無理にセルを回すとバッテリーが上がったり、スターターその他の部分にも不具合が出てきます。

すべてノーマルでも調子が良ければ特別何かをする必要はないのかもしれません。しかし自分の過去の状態を振り返ってみると、小さな部分ですが、現在までに色々と変わってるな〜、と思います。真冬のエンジン始動、以前はもっと苦労していました。

ここ数年は真冬でもチョークいらず、暖気いらずで、調子良く走れています。冬はバイクのフィーリングがいいので、道の状態を見て走行可能であれば外気温がどうであれとにかく走りたいと思います。冬の走行で気付くことは数多くあります。
もしこの時期のエンジン始動に苦労しているのであれば、対策として、

1. 点火プラグを新品にする(プラグギャップを適切に調整する)
2. 可能であればキャブレターの燃料を適切に調整する
3. エンジンオイルの粘度を下げる

を、バイクの調子を見ながら、試してみることをお勧めします。
もちろん地域によりますが、始動性が上がると冬もバイクに乗ることが億劫にならず、年中バイクを楽しめますよ!



1 件のコメント :

  1. 初めまして。質問です、キャブのフルチューンはどのコースを施されてますか?
    3パターンコースがあると聞いたので教えて頂けると助かります。

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