レザーバッグにオイル補給 / REAL MINK 95

レザーメンテナンスシリーズです。



レザー、革製品の油分補給としては、マスタングペースト(MUSTANG PASTE)を気に入って使っています。
前回の記事『レザーグローブのメンテナンス / マスタングペーストでオイル補給』でもPAIR SLOPE(ペアスロープ)のレザーグローブ、PG-33Wの油分補給にマスタングペーストを使用しました。

レザーにオイルはマスタングペースト一択!と思っていたのですがところがどっこい東急ハンズに非常に気になるオイルがあったのです。
その場でサンプルを使ってビックリ!即購入しました。



それがこちら、「REAL MINK 95」!
「ミンクオイル95%」と書かれていますが、この「95%」というのは一般的にはありえないミンクオイルの配合率なのです。

まだあまり知られていないようなのですが、このミンクオイル、かなりいいですよっ!





HatmanWalk 最高級ミンクオイル リアルミンク95 70g



「REAL MINK 95」

一般的に「ミンクオイル」とされているものは肝心のミンクの油脂(Mink Oil)の含有率が数%程度というものが多く、中にはミンクの油脂が含有されていないにも関わらず、似たような効果があるという理由で、慣例的に「ミンクオイル」と称しているものもあるようです。

一般的なミンクオイルの成分表を見ると、「ロウ、動物性油脂、有機溶剤」などとなっているものが多く、「動物性油脂」も「ミンクの油」であったりなかったりします。
ミンクの油脂が入っていない、もしくは入っていても数パーセントのものが「ミンクオイル」として売られているわけですが、現在ではミンクの油脂は非常に高価で、その優位性が認められているものの、高価であるがゆえに溶剤などと混ぜて(薄めて)製品化せざるを得ない、といった事情もあるようです。

「主成分はミンクの油脂」と明記しているメーカーもありますが、パーセンテージを明示しているミンクオイル製品は少ないと思います。というか他に知りません。



こちらの「REAL MINK 95」の成分表はいたってシンプル、「ミンク油 蜜蝋」のみで、ラベルには「天然成分100% ミンク油95%配合」と書かれています。

パッケージに入っていた製品説明書によると、化粧品原料として輸入したミンク原脂を国内の製油所で精製している、とのことです。

公式サイトの言葉が印象的です。

”精製されたミンク抽出油95%と、最高級ホワイト蜜蝋で作った 天然成分100%の保革油です。 ​
「コレに優るものは無いと確信します」”



で、蓋を開けるとこんな感じ。マスタングペーストと同じく固形状です。



指ですくってそのままヌリヌリ。体温でとろけます。これもマスタングペーストと一緒、なのですが、伸びがすごくいいですね、スゥ〜っとオイルが伸びていきます。
この伸びの良さはマスタングペーストを遥かに凌ぎます。

東急ハンズのサンプルを使って色々試したのですが、伸びの良さはコロニルの1909レザーローションやモウブレイのデリケートクリーム並みかそれ以上で、浸透具合はレザーローション、デリケートクリームの比ではありません。革の奥まで素早く浸透していきます。



これが・・・



こうで、



これが・・・



こう。



指で薄く塗り広げるだけでカサカサの革がみるみるうちに潤っていくのがわかります。



「REAL MINK 95」を塗った直後は革の色が濃くなり、磨耗してはげた革表面のカサカサも目立たなくなります。革にオイルが浸透している証しです。







この通り。
塗った瞬間磨耗している部分が綺麗になり、傷が無くなる感じです。
「REAL MINK 95」は無色透明のオイルで、補色効果はありませんが、革の奥までオイルが浸透することで、革の状態に関わらず革表面に深い艶が出てきます。



全体にオイルを入れて、縫い目などの細部を中心に馴染ますようにブラッシングして終了です。
オイルを入れた直後はギラッとしていますがみるみるうちに革がオイルを吸い込んでいき、しっとりと落ち着いた表情になります。



24時間経過した姿が(昼間普通に使いましたが・・・)こちら。
革表面はベタつくことなくサラッとしていて、柔軟性のあるしなやかな革に生まれ変わりました。



細部の様子はこんな感じ。
今回はオイル補給のみで補色はしていませんが、擦れてはげた部分がかなりいい感じに蘇りました。ローションやクリーム系ではこうはいきません。



ミンクオイルの特徴としてまず挙げられるのは優れた浸透性で、スッと革に浸透していき、馴染むのがとても早く、見ていて気持ちがいいくらいです。

表面張力が他のオイル、動物性オイルや植物性オイルと比べてとても弱く、この性質のおかげで革の繊維や細胞の隙間に入っていきやすいようです。
表面張力の弱さは伸びの良さにもひと役買っていて、指で塗り広げていくと浸透しながらもスルスルと伸びていくので、少ない量で広範囲にオイルを入れることができます。

ミンクの油脂はオレイン酸を中心に、パルミチン酸、パルミトレイン酸、などなど、豊富な脂肪酸組成を持ち、人の肌、脂肪組成に近く、化粧品としても優れた効果を発揮するようなのですが、ミンクオイルを入れた後の革の表情を見るとなるほど〜、と納得できます。
革、蘇ります。

指で塗ることによってついでに手のケアができるのも純天然成分ならではの良さですね。
嫌なべとつきなどもなくしっとりと手全体を保湿することができます。



こちらはKETO ストマックショルダー2代目ブラックです。
初代と比べると革が厚く重く、革自体にハリとコシがあります。

ちなみにKETOは世界中を旅する生粋のトラベラー3人によるレザー&シルバークラフトメーカーで、地球の奥深くまで旅をしながらレザーやシルバー、鉱物などを用いてもの作りをしているようなのですがそれ以上のことは分からず正体不明です。

ストマックショルダーはそんな彼らの名作のひとつで、動物の胃袋を袋(バッグ)にして使っていたある部族からインスピレーションを得てこの形になったようです。
体に沿う絶妙な形なので、タンデムでもパッセンジャーの邪魔になりにくいのです!!

いつか地球のどこかで彼らに出会いたいものです。



ミンクオイルを塗ると革が柔らかくなるので、現状で革の硬さがちょうどいい場合は様子を見ながら塗っていったほうがいいかもしれません。
なのでストマックショルダー黒い方は悩み中。

「マスタングペースト」と「リアルミンク95」はそれぞれの良さがあると思います。まだ双方の特徴を掴みきってはいませんが、どちらを選んでも革にとって最高の油分補給になることは間違いなく、うまい具合に使い分けていければな〜、と思っています。



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