2008年ロシアの旅 / 2008 RUSSIA touring
※このシリーズは、2008年の旅行記になります。渡航情報や現地の様子などは2008年当時のもので、現在では状況が大きく異なっている可能性があります。また、記憶が曖昧な部分もあり、間違った情報が記載されている事も考えられます。何かの参考にされる方は注意してください。
※このシリーズは、2008年の旅行記になります。渡航情報や現地の様子などは2008年当時のもので、現在では状況が大きく異なっている可能性があります。また、記憶が曖昧な部分もあり、間違った情報が記載されている事も考えられます。何かの参考にされる方は注意してください。
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ルーシ号には私の他に4人の日本人旅行者がいた。
このうち2人はライダーで、2人はバックパッカーだ。
ライダーの藤本周三さんは50代後半のベテランライダーで、HONDA XR250でウラジオストクからシベリアを抜けてヨーロッパに入り、その後アフリカ、アメリカを走破、つまりこれからバイクで世界一周に向かう面白い京都のおっちゃんだ。
もう1人のライダー、ニシさんは私よりも少し歳上で30代半ばくらいか、HONDAのSUPER CUB 90で同じく世界一周に挑む自称オタクで、バックパッカーとして世界を旅した経験を持つ、オタクだ。
2人とは船に乗る数時間前に、伏木港でのバイクの簡易輸出手続きを行う、伏木海陸運送の応接間で出会った。
藤本さんは20歳くらいの頃からBMWに乗り、ニシさんはKAWASAKIの旧車Wを愛車としている。つまり2人ともこのワールドツーリングの為に、それぞれHONDAのオフ車とカブを購入したのだ。2人とも国内でのキャンプツーリングの経験も豊富で、いろんな話を聞けて楽しい。
バックパッカーのスガさんは少し年上の気のいい兄ちゃんといった感じで、シベリア鉄道に乗ってヨーロッパに向かうようだ。いかにも自由人といった空気が出ていて、心地いい。
もう1人のバックパッカーは女性で、私の親の世代の、超元気なおばちゃんだ。スガさんと同じくシベリア鉄道に乗って単身で世界旅行に向かう。
私を含めた５人の日本人旅行者とは別に、1組の日本人グループがいた。『PACEの風』という音楽家のグループで、演奏旅行でシベリアを回るらしい。船内で「イパネマの娘」を奏でていたが、日本人がブラジルの音楽をロシアの船で演奏するのを聴いていると、なんとも言えない不思議な気持ちになる。そうだ、音楽に国境はないんだ。
他の乗客はほとんどロシア人で、全体で30人くらいいるだろうか。
船内のレストランでの食事は、もちろんロシア料理。
藤本さん、ニシさん、スガさん、超元気なおばちゃんと5人でテーブルを囲む。生まれて初めて食べるロシア料理の感想は、「味がうすい」だった。
ボルシチも、名前の分からない豆料理も、サラダにかけるソースまで、総じて味が薄い。不味くはないが、美味くもない。いや、この微妙な味わいを楽しむには、もっと繊細な感覚が必要なのではないだろうか。そう思いながらよく味わいながら食べると、野菜や豆などの素材の味がよくわかる。そうか、私が普段から馴れ親しんだ味、日本の味付けは濃いのだ。
その事に気が付くと、ロシア料理の味が分かってきた。大地の味だ。これは美味しい。
5人が食べ終えた頃、唐突に超元気なおばちゃんが大声で言葉を発した。
「ブイラ オーチン フクースナ！」
4人はあっけにとられ、呆然としてしばらく固まった。すると超元気なおばちゃんはニコニコしながら、「ロシア語でごちそうさまでしたの事よ！とっても美味しかった、って意味なの！」と言って、アハハーッ、と笑い出した。つられてみんなで笑い出す。そうか、美味しいは「フクースナ вкусно」、とてもは「オーチン очень」か。
楽しくて、勉強になる。超元気なおばちゃん、スパシーバ спасибо（ありがとう）！
部屋は藤本さんと一緒だ。4人部屋に2人、広く使えて退屈しない。たまにニシさんが遊びに来る。この時間がまた楽しい。
これまでの経験、バイクの事や旅の事、これからの計画などを話し合うが、2人が私の話を聞いて驚く。私が免許取りたて数ヶ月のバイク初心者、キャンプツーリング未経験だったからだ。持ってきた工具も車載工具プラスアルファくらいで、世界どころか堺すらろくに走っていない私に藤本さんは言った。
「吉田さん、それは無謀ですよ・・・凄いな・・・」
「しかもハーレーですしねえ・・・本当に凄いな・・・」とニシさんがニヤリと続く。
いやいや、あなたたちの方が凄いで、と思いながら、大先輩2人から旅のアドバイスやトラブルが起こった時の対処法などを聞く。
金曜日の夕方に乗船し、順調にいけば日曜日の朝9時にウラジオストクに着く。2泊3日の船旅だ。まさか同じ船に自分以外の日本人がいるとは思ってもみなかったが、今はここがホームだ。ルーシ号が私のホーム。そう思えるのは、同じ目的を持つライダーの藤本さんニシさん、あなたたちのおかげなのです。
次は＞『ロシア上陸』 ウラジオストク / Владивосток
Harley Davidson XL1200 L Sportster Low
ハーレー ダビッドソン スポーツスター ロー
ルーシ号には私の他に4人の日本人旅行者がいた。
このうち2人はライダーで、2人はバックパッカーだ。
ライダーの藤本周三さんは50代後半のベテランライダーで、HONDA XR250でウラジオストクからシベリアを抜けてヨーロッパに入り、その後アフリカ、アメリカを走破、つまりこれからバイクで世界一周に向かう面白い京都のおっちゃんだ。
もう1人のライダー、ニシさんは私よりも少し歳上で30代半ばくらいか、HONDAのSUPER CUB 90で同じく世界一周に挑む自称オタクで、バックパッカーとして世界を旅した経験を持つ、オタクだ。
2人とは船に乗る数時間前に、伏木港でのバイクの簡易輸出手続きを行う、伏木海陸運送の応接間で出会った。
藤本さんは20歳くらいの頃からBMWに乗り、ニシさんはKAWASAKIの旧車Wを愛車としている。つまり2人ともこのワールドツーリングの為に、それぞれHONDAのオフ車とカブを購入したのだ。2人とも国内でのキャンプツーリングの経験も豊富で、いろんな話を聞けて楽しい。
バックパッカーのスガさんは少し年上の気のいい兄ちゃんといった感じで、シベリア鉄道に乗ってヨーロッパに向かうようだ。いかにも自由人といった空気が出ていて、心地いい。
もう1人のバックパッカーは女性で、私の親の世代の、超元気なおばちゃんだ。スガさんと同じくシベリア鉄道に乗って単身で世界旅行に向かう。
私を含めた５人の日本人旅行者とは別に、1組の日本人グループがいた。『PACEの風』という音楽家のグループで、演奏旅行でシベリアを回るらしい。船内で「イパネマの娘」を奏でていたが、日本人がブラジルの音楽をロシアの船で演奏するのを聴いていると、なんとも言えない不思議な気持ちになる。そうだ、音楽に国境はないんだ。
他の乗客はほとんどロシア人で、全体で30人くらいいるだろうか。
船内のレストランでの食事は、もちろんロシア料理。藤本さん、ニシさん、スガさん、超元気なおばちゃんと5人でテーブルを囲む。生まれて初めて食べるロシア料理の感想は、「味がうすい」だった。
ボルシチも、名前の分からない豆料理も、サラダにかけるソースまで、総じて味が薄い。不味くはないが、美味くもない。いや、この微妙な味わいを楽しむには、もっと繊細な感覚が必要なのではないだろうか。そう思いながらよく味わいながら食べると、野菜や豆などの素材の味がよくわかる。そうか、私が普段から馴れ親しんだ味、日本の味付けは濃いのだ。
その事に気が付くと、ロシア料理の味が分かってきた。大地の味だ。これは美味しい。
5人が食べ終えた頃、唐突に超元気なおばちゃんが大声で言葉を発した。
「ブイラ オーチン フクースナ！」
4人はあっけにとられ、呆然としてしばらく固まった。すると超元気なおばちゃんはニコニコしながら、「ロシア語でごちそうさまでしたの事よ！とっても美味しかった、って意味なの！」と言って、アハハーッ、と笑い出した。つられてみんなで笑い出す。そうか、美味しいは「フクースナ вкусно」、とてもは「オーチン очень」か。
楽しくて、勉強になる。超元気なおばちゃん、スパシーバ спасибо（ありがとう）！
部屋は藤本さんと一緒だ。4人部屋に2人、広く使えて退屈しない。たまにニシさんが遊びに来る。この時間がまた楽しい。
これまでの経験、バイクの事や旅の事、これからの計画などを話し合うが、2人が私の話を聞いて驚く。私が免許取りたて数ヶ月のバイク初心者、キャンプツーリング未経験だったからだ。持ってきた工具も車載工具プラスアルファくらいで、世界どころか堺すらろくに走っていない私に藤本さんは言った。
「吉田さん、それは無謀ですよ・・・凄いな・・・」
「しかもハーレーですしねえ・・・本当に凄いな・・・」とニシさんがニヤリと続く。
いやいや、あなたたちの方が凄いで、と思いながら、大先輩2人から旅のアドバイスやトラブルが起こった時の対処法などを聞く。
金曜日の夕方に乗船し、順調にいけば日曜日の朝9時にウラジオストクに着く。2泊3日の船旅だ。まさか同じ船に自分以外の日本人がいるとは思ってもみなかったが、今はここがホームだ。ルーシ号が私のホーム。そう思えるのは、同じ目的を持つライダーの藤本さんニシさん、あなたたちのおかげなのです。
次は＞『ロシア上陸』 ウラジオストク / Владивосток
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ハーレー ダビッドソン スポーツスター ロー
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