箱の中から・・・
インナーチューブです。表面が黒いのは、ある処理が施されている為です。
DLCとはダイヤモンドライクカーボン（Diamond-like Carbon）の略語で、主に炭素と水素で構成される、その名の通りダイヤモンドのような特徴を持った硬質膜の事です。
一般的な特長として、硬質性、潤滑性、耐摩耗性、化学的安定性、表面平滑性、離型性、耐焼付き性などが挙げられ、現在では様々な性質のDLCが工業的に利用されています。
金属表面にナノメートルレベルの極薄膜でコーティングされるので、母材の寸法をほぼ変える事なく、被素材に対して上記のような様々な特長を与えます。
ひとくちにDLCと言っても、原料の組成や製法、そして処理方法も様々で、とても奥が深いですね。
現時点で金属に対する最高の表面処理の一つとされています。
先日作業したフロントフォークのオーバーホールの際に、インナーチューブを新調しようと考えました。
まず、純正の新品。これはおそらくアホみたいに高価であろう事と（金額を調べてもいません）、納期に時間がかかるので、ボツ。
次に社外品。色々リサーチし、イタリア製のTNKにXL1200の設定があるのが分かり、値段も手頃で品質も良さそうだったのと、現在装着しているリアショックないトロンと輸入代理店が同じだった事もあり、ほぼ決まりかけていたのですが、調べるとこちらも国内に在庫が無く、納期に時間がかかるので、ボツ。
2秒ほど途方に暮れて、思い出したのがこの「DLC処理済みインナーチューブ」です。
販売店は、広島のハーレーショップ、45 degree
フォーティーファイブディグリーです。
ブログにも詳細が書かれています。
以前からショッピングカートにあるのを知ってたんです、ハーレー純正新品ベースのDLC処理済みインナーチューブの存在を！
どうせ交換するなら、少々高くても本当にいいものを。いつもの転んでもただでは起きない精神で、ショッピングカートを見ると、「SOLD OUT」の文字が・・・電話で問い合わせます。すると・・・。
「あるかもしれないので、確認します。少々お待ちください。」
期待に胸を膨らませ、ドキドキしながら待ちます。
「お待たせしました、申し訳ないのですが、在庫がございません・・・。」
がっくり、どうしようかと今度こそ本当に途方に暮れかけたのですが、ここで救いのお言葉が・・・。
「無いのですが、中古ベースのものであれば、1セットあるので、少しお安くお譲りすることは出来るのですが・・・。」
詳しく伺うと、試乗車用に置いていたもので、程度のいい中古の純正インナーチューブを加工に出し、DLC処理後は未使用である事がわかりました。また、これから新品ベースのものを待つとなると、納期がかかる上に、これまでの値段では出せないとの事でした。これはハーレー純正パーツ特有の問題ですね。
その後何点か質問し、納得して、早速購入する事になりました。格安です！
で、到着したのがこの黒い棒、と言う訳です。
45degree メカニックのDR.マサさんに、このDLCの処理に関する具体的な話も詳しく聞きました。めちゃくちゃ面白い話だったのですが、秘密です！
ひとつだけ言えるとすれば、このインナーチューブに施されたDLCは、「特別」です。
ノーマルのものには無い溶接跡がありますが、DLC処理時に必要なものです。先日の記事で解説した通り、この内側には樹脂製のフリーバルブがあるのですが、それをそのままDLC処理してしまうと、処理中の熱によってバルブが溶けて変形してしまうので、いったん処理前に旋盤でカシメを落としてバルブを取り出し、処理後にバルブを元に戻して溶接する、とゆう手間がかかっているいるのです。
また、バルブを取り出すことで処理前の洗浄も完全に行えますね。溶接跡がとても綺麗です。
手触りも独特で、滑りの良さと硬さが同居しているのですが、これがナノ〜マイクロレベルの極薄膜によるものだとはちょっと信じがたいです。不思議な感じです。
期待するのは、耐久性と耐摩耗性の向上、あとは摩擦抵抗の軽減、潤滑性ですね。
コーティング部分は錆びない、とも聞きます。ずぼらな僕にはちょうどいいです。
Harley Davidson XL1200 L Sportster Low
ハーレー ダビッドソン スポーツスター ロー
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