『バイカル湖を超えて』 イルクーツク / Иркутск

2008年ロシアの旅 / 2008 RUSSIA touring 

※このシリーズは、2008年の旅行記になります。渡航情報や現地の様子などは2008年当時のもので、現在では状況が大きく異なっている可能性があります。また、記憶が曖昧な部分もあり、間違った情報が記載されている事も考えられます。何かの参考にされる方は注意してください。
__________________________________________





6月8日 日曜日

ローギアで勢い良く加速する。3メートルはある急斜面を登りきり、無事窪地を脱出する。
3メートル下の窪地にいるイヴァンたちロシア人6人に大きく手を振り別れを告げて、アリーを出発する。

アリーは水も綺麗で空気も良く、植物も生き生きとしていて、理想的なキャンプ地だった。この場所を教えてくれたロシア人と、ともにキャンプを楽しんだイヴァンたちに感謝する。







その後は快調に飛ばすが、飛ばしすぎて警察に捕まった。
国土の広いロシアでは、大きな町の入り口で決まって検問をしていて、警官が数人から多いときは10人ほどで町に入る者をチェックしている。ロシア人であろうが外国人であろうが関係なくドキュメントの提出を求められるのだ。このような検問はこれまでにも数回あった。

長い列で渋滞になっていたのを避け、対向車線を走っていたところで捕まった。
ビロビジャンからチタまでは他に走っている車が少なく、渋滞などなかったので、これが検問で出来た渋滞だとは思わなかったのだ。警官がいる事にも気付かなかった。スピードも出ていた。やってもーた・・・。

停止命令に従ってバイクを止めると、警官が笑いながらスピードガンを見せてくる。
時速100Kmを優に超えていた。パトカーの中に連れて行かれる。

金を要求されるが、無い、と言い張る。心の中で「これが噂に聞いたロシアの悪徳警官か」と思う。警察に賄賂は有名な話だった。
警官は無いはずないやろ、といった感じでしつこく金を要求してきたが、あまりにもしつこいので黄門様の印籠のように安タバコのトロイカを見せると、警官は笑って泣きながら私を解放してくれた。

私はこのロシアの安タバコ、トロイカが大好きだ。見知らぬロシア人ともこれで何度も打ち解けた。中にはセブンスターやマルボロなどの高級なタバコを吸わせてくれたり、これがきっかけで飯をご馳走してくれる者までいた。安くて美味しく、笑いのネタになるいいタバコなのだ。

トロイカのおかげで金を渡す事なく解放された私はその勢いで前進し続け、大きな都市、ウラン・ウデを超える。まだ日は高い、止まらず前進だ。





しばらく走って峠に入る。勾配のきつい上り坂が続くが、未舗装路だ。といっても固い土なのでまだ走りやすい。
悪路には違いないが、素晴らしいワインディングだ。藤本さんならきっと笑顔で走っているだろう。
心地よい風を感じながら程良いペースで登っていくと、ちょうど峠の頂上付近のカーブであっと驚く光景が目に飛び込んできた。トレーラーが横転している。40フィートのコンテナが横倒しになっているのだ。

そのあたりの路面は砂利混じりの土だった。滑ってカーブを曲がりきれなかったのか居眠りか何か分からないが、慎重にその横を進む。土煙は立っていないので、横転してから時間が経っているようだ。
運転席には人はいない。ドライバーが自力で脱出したのか救助された後なのか、あたりを見回しても誰もいない。この場で私に出来る事はないので、ドライバーの無事を祈りながら通過する。

タイミングが悪ければ私がコンテナの下敷きになっていたかも知れない。改めてシベリア横断の過酷さと現実を知る。気を引き締め直し、峠を下る。





いつの間にか路面はアスファルトに変わっている。といっても砂と砂利がアスファルトの表面を覆っているのでタイヤのグリップはあまり良くなく、滑って怖い。慎重に進む。

グネグネと曲がりくねった下り坂が続く。遠くの方に村が見えてきた。人の姿も見える。近づいていくが、どうやら村ではないようだ。
道沿いの林のすぐ向こうには民家ではなく、バンガロウが並んでいるのが見える。大きなログハウスはカフェだろうか。車も結構止まっている。この幹線では見慣れない風景だった。
どうやら宿泊施設のようだ。今までとは何かが違うと思ったが、その理由はすぐに分かった。バイカル湖だ。





バイカル湖です。
これはモスクワからの帰りに撮った写真です。
写真の男はサーシャと言って、彼は車だったのですが数日間行動を共にしました。
水浴びと称して体を洗います。綺麗な水で旅の汚れを、落とす。


 


バイカル湖は途方もなく大きく、海にしか見えない。これが湖だとは到底思えない。水面がキラキラと輝いていて、反射する太陽が目に眩しい。まるで幻を見ているような感覚だ。
きっといい観光地なのだろう。車や人が多く、賑わっている。

バイカル湖名物の「オムリ」を探す。バイカル湖に行ったら必ず食え、と、ここに来るまでいろんな奴に言われてきた。バイカル湖周辺でしか食べられない、魚、だ。めちゃくちゃ美味しいらしいが、どこで売っているのだろうか?
キョロキョロしながら走るが、結局「オムリ」は見つからなかった。
あ〜、食いたかったなぁ〜。

暗くなるまでまだ時間がある。このままイルクーツクまで行こう。





しばらくバイカル湖沿いをひた走り、イルクーツク Иркутск に入る。もう空はすっかり暗くなっていた。
街のはずれの空き地でバイクを止めるが、テントを出すのがめんどくさい。バイクの上で寝るか・・・。

ハンドルに足を掛け、リアシートに括り付けた荷物にもたれ、XL1200の上で横になる。
こうして眺めるイルクーツクの夜空は格別だ。空気がとてもクリアで、星が眩しいほど明るい。いいところじゃないか・・・。

静かな夜。安心して眠れと、輝く星が語りかけてくるようだった。





次は>『厄日』 タイシェット / Тайшет
にほんブログ村 バイクブログ ハーレーダビッドソンへ

Harley Davidson XL1200 L Sportster Low
ハーレー ダビッドソン スポーツスター ロー



0 件のコメント :

コメントを投稿