45DEGREEフルチューンCV超耐久テスト!

超耐久テスト、フルチューンCVキャブレターのインプレッションです。



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フルチューンCVとは言わずと知れたハーレーの名店、広島45DEGREEが開発・販売する、究極的(変態的)にチューニングされたCVキャブレターです。
「日本一のチューナー」との呼び声も高い若きチューナー「DR. マサ」の手によって近年さらなる進化を遂げたフルチューンCVキャブレター、キャブ車で愛用している方も多いと思います。

実はわたくしこのCVキャブレター、2台目なのです。1台目は十万km超走ってキャブレターボディー、スライドピストンなどが磨耗限界にきて引退しました。
1台目のCVキャブレターは「フルチューンCV ツーリング仕様」でした。

旅を見越して近年進化した「ペッパーCV」へのバージョンアップと、「サンダージェット加工」を依頼しキャブレターを郵送したのですが、DR. マサさんの診断により(ドクターはバイクのお医者さんです)、「再チューニング不可」との結果が出たので、ならばとめげずにヤフオクでほぼ未使用のCVキャブレターを見つけ出し格安で入手して再び45DEGREEに郵送し、「フルチューンCVツーリング仕様+サンダージェット加工」を施してもらいました。

ほぼ未使用(一度もガソリン通ってないかも?)のキャブレターベースにフルチューンCV加工プラスサンダージェット、これが現在装着している2台目です。
新品同様だけど、もち!メディブライト(ウェットブラストat 45DEGREE)済み!
先ほど触れた「ペッパーCV」は標準化されているので新規製作では何も言わなくとも「ペッパー仕様」です。



2台目装着後5万kmほど走行した姿がこちら。キャブになんか刺さっていますがそれがサンダージェットです。
これを装着して旅に出ました。ユーラシア往復超耐久テストの始まりです。



ウラジオストクから走り出し。



雨にも負けず風にも負けず。



ダートの砂埃にも負けず。



凍てつくシベリアを夜通し走ってもキャブはぐずりません。



いやロシアの夏暑すぎでしょ!ちなみに気温計は正確です。
シベリアは特に昼夜の気温差が激しいのですがフルチューンCVはいつだって絶好調。



心配していた北欧、ノルウェイの割と標高が高いポイントも難なく通過。
ジェット変更はおろかミクスチャーの調整すらしていません。だって調子がいいんだもん。
この辺りからフルチューンCVへの信頼性が一段と増しました。あらゆる面で、調子良く走ることができる幅が広く、懐の深さを実感しながら走行していました。



キャブレターにとっていちばんの難関はアルプス山中標高2,757mステルヴィオ峠(Passo dello Stelvio)でした。

日本の国道で最も標高が高い地点は長野県と群馬県にまたがる渋峠、標高は2,172mです。
車が通行できる日本最高所は長野県と山梨県の境にある大弛峠で、こちらの標高は2,360mです。
(※追記 表富士周遊道路の新五合目は標高2,380mほどあり、こちらが自家用車が通行できる最高所のようです)

つまりステルヴィオ峠は一般の車が通行できる日本最高地点よりもさらに400mほど高く、まさに海外ツーリングでしか経験することのできない未知の世界だったのです。
さらにステルヴィオ峠に臨んだのは10月、直前の情報では路面凍結で閉鎖されているかも?という状況でした。

走れるか、閉ざされているか、行ってみないとわからないまま、その日は標高1,500mのボルミオからスタート。うまくいけばそこから一気に1000m以上駆け上がることになるので気合いを入れて臨みました。
気温、気圧、空気の薄さ、など、タンデムライドで未体験ゾーンに突入です。



時折深い霧に視界を遮られながら山の斜面に沿ってグネグネの峠道をどんどん登っていきます。
閉鎖はされていませんでしたが気温は氷点下に近く、キャブレターにとってもライダーパッセンジャーにとっても厳しい状況に変わりはありませんでした。

ジェット(キャブレターの)は番手違いを数種類用意していて、いつでも交換できる準備はしていました。少しでもぐずったり、フケが悪くなったら途中で止めて交換しよう、と思っていたのですが・・・。



そのまま無事峠の頂点に到着、あっけないほど順調に走行することができました。気合いが入っていただけに喜びはひとしおで、静かに感動しながらも「フルチューンCVすげー!」と思いました。

当時のジェッティングはスロー42でメイン170、車検時に交換したまんまのセッティングです。さすがにミクスチャーは調整をして、それであかんかったらジェットを・・・、などと思っていましたが、その必要はありませんでした。

今回改めて思ったのは、45DEGREE製フルチューンCVキャブレターは、純正そのままのCVキャブレターの特徴、最新設計の負圧キャブの利点を生かしつつ、あらゆる環境・シュチュエーションに対する許容範囲が極めて幅広いものに、そして極めて扱いやすいキャブレターへと仕上がっているのではないでしょうか。



www.45degree.net
メディブライトで美しく仕上がったフルチューンCVキャブレター
メディブライト処理は内部にも施されていて、摺動抵抗低減効果も
キャブ車でまだ未体験の方は是非!
トルクフルでレスポンス良く、全域でパワーアップし、サンダージェットでさらに加速が・・・、と純正キャブから色々と変化があって楽しく、強制開閉式キャブレターと比べても遜色ない性能を有するフルチューンCVですが、私が一番重視していて実際に素晴らしいなと思ったのが先ほど述べた「許容範囲の広さ」と「扱いやすさ」です。

バイク(車)で走れるところならどこでも走る気持ちなので、気温、湿度、気圧、天候などの急激な変化、その他どのような状況でも好調を維持するキャブレターは私の使用条件にマッチします。

ピンポイントなシュチュエーションであればHSRやFCRなどが優位な面もありますが、様々な状況・条件下においてこれほど安定した性能とコントロール性を持ったキャブレターは他にないと思います。

例えばMIKUNI HSR(≒ハーレー用に設計されたTMR)は右手(アクセル)とタイヤ(駆動)が直結したような素晴らしいコントロール性を得ることが可能で、アクセル開度とエンジンの回転がピタッと一致したようなリニアな加速を得ることができます。
通常ではCVの口径40mmに対して2mm大きな42mm、という違いもあり、ピークパワーや絶対的な加速についてはHSRが優位です。

しかし、CVキャブレターに比べるとセッティングのストライクゾーンが狭く、季節や標高が変わればベストなセッティングがベストではなくなります。
FCRもこの点では同じで、走行シュチュエーションや走り方、環境などにピシッとハマればストレスなく最高の走行感を得ることができますが、大きく外すとまともに走れなくなります。




今回の大陸横断のように一気に距離を走る場合、セッティングのシビアさ、言い換えれば許容範囲の狭さ、は非常に大きなストレスになります。
一日で炎天下と氷点下、昼と夜で30℃以上気温が変わるような厳しい環境もあります。地域によっては高低差も激しく、気圧の変化も無視できないレベルです。

キャブレターに限ったことではありませんが、この「許容範囲」の幅の広さは大げさではなく、命に関わります。何かのきっかけで許容範囲から外れた場合、そしてそのことが原因でバイクが走行できなくなった場合、タイミングと場所によっては非常に危険な状況に陥る、といったことも考えられます。

その点で一番信頼性が高いのがCVキャブレターでした。ある程度の環境の変化にも順応し、運転操作がとても楽。その純正CVキャブレターの美点と走行性能を極限まで高めたのが「45DEGREE フルチューンCV」なのです。
特に順応性の高さはある意味では現代のインジェクションを凌ぐほどで、驚異的と言えるでしょう。



朝起きたら周囲もバイクも真っ白だった10月中旬ロシアでもキャブレターはぐずることなく始動。暖気、アイドリングの安定も早く、危険地帯でも素早く発進することができました。
そうそう、安定感も抜群にいいんです。そういえばここ何年かチョークを引いた記憶がありません。

もちろん加速感などもバッチリですよ、乗っていて楽しいのですが、ここではとても語りつくせません。
とにかく素晴らしいキャブレターで、大好きなキャブレターです。
またキャブレターボディが摩耗限界になるまで使い倒すことになると思います。

フルチューンCVが好きすぎてインジェクションからシステムを変更してまでフルチューンCVをつける人もいるようなのですが、その気持ち、わかります。
とりあえずストレスなく調子よく走りたい人にはオススメの名作キャブレターです。

キャブレターも長い目で見ると消耗品なので、純正のCVキャブレターが気に入っているのであれば、今のうちに程度良好のCVキャブレターを予備として入手しておいたほうがいいかもしれません。ハーレーが全車インジェクションになって10年、程度のいいキャブレターは年々少なくなってきています。

ちなみに私は一台程度良好の中古を持っていますよ。もちろんそのCVキャブを使う際には45DEGREEさんでフルチューン化してもらう予定です。今のキャブが絶好調なので当分先になりますが、CVを使うのならフルチューンCV化確定です。
長く同じバイクに乗るのであればキャブを含め予備部品の確保は必須です。



フルチューンCVについて詳しくは本家広島45DEGREEさんのサイトでどうぞ ↓ ↓ ↓

45DEGREE キャブレターチューニング



旅に連れてって良かったランキングトップのパーツのひとつです。



2 件のコメント :

  1. はじめまして。
    私も45さんでお世話になっております。
    ぜひリンクをさせていただけませんでしょうか?
    お願いします。

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    1. 赤い彗星さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
      是非!よろしくお願い致します!

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