『自問』 オムスク / Омск

2008年ロシアの旅 / 2008 RUSSIA touring 

※このシリーズは、2008年の旅行記になります。渡航情報や現地の様子などは2008年当時のもので、現在では状況が大きく異なっている可能性があります。また、記憶が曖昧な部分もあり、間違った情報が記載されている事も考えられます。何かの参考にされる方は注意してください。
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6月13日 金曜日

8時半起床、ボリスに電話する。すぐにこっちに来るようだ。

記憶にない道を歩いて行き、昨日イゴールに声を掛けられたテントに辿り着く。
イゴールがいる、どうやら私を待ってくれていたようだ。イゴールともうひとりの男と共に朝食を食べる。

イゴールともうひとりの男、オレッグはクラスノヤルスクに住んでいるという。クラスノヤルスクは3日前に通り過ぎた街だ。わざわざこのBIKE SHOWの為にノボシビルスクまで足を運んだという事か。よっぽどバイクと音楽が好きなのだろう。



ふたりはモスクワからの帰路でクラスノヤルスクに着いたら連絡しろと言っている。ありがたい話だ。
ゆっくりとした時間、祭りの後の気怠さがなんとも心地いい。しばらくBIKE SHOWの余韻に浸りながら3人で喋っていると、ボリスがやってきた。
イゴールとオレッグに再会の約束をして、BIKE SHOWを後にする。





この写真の男がイゴールです。
モスクワからの帰路、クラスノヤルスクで無事再会を果たしました。
イゴールがまためちゃええ奴だったのです。







 




ボリスは誰かにここまで送ってもらったようで、タンデムで出発する事になった。男同士の二人乗りだ。ボリスはスレンダーだが、女と違ってさすがに重い・・・。
後部座席にボリスを乗せて数時間ひた走り、ボリスの住む町に入る。途中スーパーに寄って飯を買い、ボリスのアパートを目指す。

ボリスのナビでアパートまで来たが、突然ボリスがニーグリップして車体を傾けだした。後部座席からXL1200をコントロールしているのだ。
車体が傾くとまっすぐに走れないので意味が分からなかったが、すぐに分かった。水溜りだ。アパートの敷地に入る直前に池のような大きな水溜りがある。ボリスはこれを避けようとしたのだ。

ボリスのコントロールでなんとかその水溜りを避け、アパート前の敷地にXL1200を停車する。昨日ボリスのアパートを出るときにはなかった水溜りだ。直径30メートルほどの池のような大きな水溜り。ひと晩の雨でこうなったのだろう。
こういうのを見ると、日本との違いを改めて痛感する。

ロシアは日本ほど上下水道の設備が整ってなく、或いは無く、大きな街や綺麗な街でも雨が降ると、排水が追いつかずに簡単に冠水してしまうのだ。酷い所では通行が出来ないほどになる。
そういった光景はハバロフスクでも目にしていた。そもそも排水溝が無い所が多いのだろうか。大雨でもないのに街が冠水するなんて日本ではあまり見た事がないが、ロシアでは普通なのだ。

ロシアは国土が広い。途方もなく広い。日本が隅々まで整備が行き渡っているのは国土の問題もあるだろう。隅々まで気を配り、整えていく。きっと限られた土地であるから可能なのだ。
これは世界一の大国ロシアでは難しい、というか不可能だ。実現するには金が掛かり過ぎる。大雑把に形が出来上がればそれで十分なのだ。あとはその中でどう生きていくか。
この事は国民性や気質に影響しているような気がする。大雑把さを許容出来なければこの国、ロシアで生きていくのは困難だろう・・・。

ボリスの部屋に上がり、スーパーで買った焼き鳥と寿司、ロシアの米を食う。腹いっぱいだ。

14時、ボリスと別れ、モスクワに向けて走り出す。ボリスのおかげで印象的な時間を過ごす事が出来た。またなボリス。





その後は順調に走り、750Km先のオムスク Омск を超えた辺りのガソリンスタンドでテントを張る。セキュリティーの男にテントを張れる場所がないか聞くと、「ここでテント張れ」と言って坂を下った草むらの上に誘導してくれたのだ。
アリー以来の久しぶりのテント。テントの中にいると実感する、旅をしているんだと・・・。

一体何の為に旅をしているのだろうか?
自問しても答えは出ない。困難な道のりだが、ここまで順調に来ている。多くの出会いがあり、想像もしていなかった経験をして、今ここにいる。
旅では何のしがらみもなく、自分の事を知る者もいない。何者でもない素の自分は、驚くほど大胆で、臆病だ。
この旅で出会った人々は、そんな自分を受け入れてくれ、支えてくれ、大きな感動を与えてくれた。その全てが力となって前進してこれたのだ。

モスクワまであと2,500Km 、なんとか走りきろう。





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