少し前にクラッチの異変に気付きました。クラッチレバーからゴリゴリとした振動が手に伝わってきたのです。クラッチケーブルに給油してみるも症状は改善されず・・・。
エンジンが掛かっていない時はレバーはスムーズに動き、違和感はありません。ゴリゴリとした振動が伝わってくるのはエンジンを掛けている時、クランクが回っている時だけです。
怪しいパーツに目星を付け、パーツを準備して、分解です。
壁にもたれ掛けさせて、ちょい右に傾けます。青空の下、今日の作業場は砂利の上です。
怪しいのはあれとあれ・・・。
ビンゴ、PART NO. 8885のベアリングがガタついていました。NTN、日本製のベアリングです。
つい先日ハーレーダビッドソン南大阪ハイサイドで購入した純正のベアリングはメイドインポルトガルのFAGです。ここのベアリングは交換した記憶がないので、途中で切り替わったのでしょうか?
ベアリングはリリースプレートに軽圧入されていますが、ボックスソケットをそれぞれに当ててハンマーで打ち抜きました。
新しいベアリングを圧入します。と言ってもプレス機などは持ち合わせていないので、木片で挟んでプライヤーレンチで押し込みます。ハンマーで打ち込むと少なからず衝撃がありますが、このようにプラーヤーレンチを使えばベアリングに衝撃を与える事なく、少しずつ、まっすぐ圧入する事が出来ます。
クニペックスのプライヤーレンチ は握力の10倍の力で物を掴めるのが特徴です。握力50Kgの人なら500Kgの力を掛ける事が出来る、という事ですね。
プライヤーのサイズと、対象物のサイズや形状にもよりますが、軽圧入程度ならこれで十分です。
まっすぐ奥まで入りました。
ベアリングはスムーズに回り、ガタもありません。
ベアリングにはスーパーゾイルスプレーを吹き付けておきました。
このスプレー、普段滅多に使わないのですが、こうしてたまに使います。
専用工具を使ってバラしていきます。もうひとつ怪しいのがあるんです。
写真にはありませんがスプリングプレートを疑っていました。クラッチ盤の真ん中に入っているあれですね。
クラッチ操作の際に衝撃を吸収し、ジャダーの発生を抑える役割を持つパーツですが、過去に一度スプリングプレートを繋ぎ合わせているリベットがバラバラになって、リベットの破片がケース内に飛び散る、というのを経験しています。
よく壊れるので有名なパーツですね。
どうもフリクションプレートの寿命よりもスプリングプレートの寿命の方が短い気がするのです。そして壊れるときにはいきなり壊れる・・・。
私にとっては信頼性の低いパーツなのです。
取り外して見たところ、スプリングプレートには異常はありませんでした。がっかり・・・?
しかしちょうどいい機会なので取り外します。
先日の記事に書いたのですが、今回導入するRIVERA PRIMOメカニックチョイスEXクラッチキット は、スプリングプレートを省いた構成になっています。スプリングプレートを抜く代わりにフリクションプレートとスチールプレートが純正よりも1枚ずつ多く入ったキットなのです。
全てのクラッチ盤を取り外し、クラッチシェル内を綺麗にします。
クラッチ盤が収まる溝部分は磨耗して若干の段付きがありますが、ひどい引っ掛かりはありませんでした。
クラッチハブは一度交換しているので溝も比較的綺麗でした。
この時に注意しなければいけないのは、リテイニングリングが収まる溝です。ここのエッジが丸くなっていると最悪リテイニングリングが外れ、その瞬間に走行不能になってしまいます。
分解時には要チェックです。今回は問題ありませんでした。
クラッチ盤と接する溝表面にプライマリーオイルを塗り込んでおきます。
新しいクラッチ盤、RIVERA PRIMO EXクラッチキットのスチールプレートには防錆油が塗られていました。正体不明の油なので綺麗に清掃し、脱脂しました。
スチールプレートの向きを合わせておきます。
写真では分かりにくいのですが、内側の歯のエッジが丸い方が表になります。
裏側のエッジは角が立っています。分かりにくいのですが、よく見ると分かります。手で触っても違いを感じ取る事が出来ます。
このエッジの違い、ですが、スチールプレートの製造工程において仕方なく発生してしまうもののようです。設計図にはない部分だと思います。
この向きを揃え、表側(エッジが丸い方)を内向き(エンジン側)にセットします。
表側方向に進む方がスムーズに動くので、クラッチを繋ぐ時にスムーズに動く向き、という事になります。
あえて逆向き(エッジが丸い方を外向き)に組む場合もあるようです。この場合はクラッチを切る方向にスムーズに動きます。
何れにしてもバランスよくスムーズな動作を得るために、すべてのスチールプレートの向きを揃える事が重要です。意図的にバラバラの向きに組む人もおそらくいると思うのですが、私はノーマルです。
スチールプレートの厚みは1.50 mm前後です。
フリクションプレートの厚みは2.30 mm前後です。一番厚い部分の数値です。
フリクションプレートには向きはないようです。表裏の違いが分かりませんでした。
フリクションプレートをプライマリーオイルに浸します。プライマリーオイルはハーレー純正FORMURA+ です。
RIVERA PRIMO の説明書には「10〜15分」と書かれていたので、それくらいの時間浸しておきました。
また、理由は分からないのですが、「化学合成プライマリーオイルは使うな」との記載があります。
プライマリーオイルにはA.S.H. のギアオイル、PSE 75W-90を入れるつもりだったのですが、少し先にプライマリーオイルを全て抜いて行う作業をする予定なので、その時にA.S.H. を入れようと思います。
つまり今回のハーレー純正FORMURA+ は慣らし用という事です。おそらく初期に鉄粉などの汚れが多めに出るはずです。
高価なFORMURA+ を慣らしで使うという贅沢・・・。
クラッチ盤を組み付けていきます。フリクションプレートはオイルに漬け込んだので余分なオイルを落としながら、スチールプレートには満遍なく全体にオイルを塗りながら、組み付けます。
クラッチ盤を抑えるスプリングプレートは純正のものを継続して使う事にしました。
RIVERA PRIMO EXクラッチキットには強化型のスプリングプレートが入っているのですが、それを使うほどではないという判断です。
また、スプリングプレートはその名の通りスプリング、すなわちバネなのですが、これまで使用している純正のスプリングプレートにはへたっている様子はなく、破損する兆候も見られませんでした。
しかし、バネなのでいずれはへたってくると思います。当分先の話だとは思いますが・・・。
という事でクラッチの修理、というか部品交換が終わりました。
新品部品に交換したのは、ベアリング(レリーズベアリング)、フリクションプレート、スチールプレート、リテイニングリング3つ、分解した部分全てのガスケット・Oリング、そしてオイルです。
早速試走しましたが、クラッチレバーから感じた違和感は完全に解消されました。走行感、クラッチの切れ具合、繋がり具合、操作感もまずまずです。
無事作業終了。
ちょっと今、太陽の熱とオイルの匂いにやられて頭が痛いです。
Harley Davidson XL1200 L Sportster Low
ハーレー ダビッドソン スポーツスター ロー
エンジンが掛かっていない時はレバーはスムーズに動き、違和感はありません。ゴリゴリとした振動が伝わってくるのはエンジンを掛けている時、クランクが回っている時だけです。
怪しいパーツに目星を付け、パーツを準備して、分解です。
壁にもたれ掛けさせて、ちょい右に傾けます。青空の下、今日の作業場は砂利の上です。
怪しいのはあれとあれ・・・。
ビンゴ、PART NO. 8885のベアリングがガタついていました。NTN、日本製のベアリングです。
つい先日ハーレーダビッドソン南大阪ハイサイドで購入した純正のベアリングはメイドインポルトガルのFAGです。ここのベアリングは交換した記憶がないので、途中で切り替わったのでしょうか?
ベアリングはリリースプレートに軽圧入されていますが、ボックスソケットをそれぞれに当ててハンマーで打ち抜きました。
新しいベアリングを圧入します。と言ってもプレス機などは持ち合わせていないので、木片で挟んでプライヤーレンチで押し込みます。ハンマーで打ち込むと少なからず衝撃がありますが、このようにプラーヤーレンチを使えばベアリングに衝撃を与える事なく、少しずつ、まっすぐ圧入する事が出来ます。
クニペックスのプライヤーレンチ は握力の10倍の力で物を掴めるのが特徴です。握力50Kgの人なら500Kgの力を掛ける事が出来る、という事ですね。
プライヤーのサイズと、対象物のサイズや形状にもよりますが、軽圧入程度ならこれで十分です。
まっすぐ奥まで入りました。
ベアリングはスムーズに回り、ガタもありません。
ベアリングにはスーパーゾイルスプレーを吹き付けておきました。
このスプレー、普段滅多に使わないのですが、こうしてたまに使います。
専用工具を使ってバラしていきます。もうひとつ怪しいのがあるんです。
写真にはありませんがスプリングプレートを疑っていました。クラッチ盤の真ん中に入っているあれですね。
クラッチ操作の際に衝撃を吸収し、ジャダーの発生を抑える役割を持つパーツですが、過去に一度スプリングプレートを繋ぎ合わせているリベットがバラバラになって、リベットの破片がケース内に飛び散る、というのを経験しています。
よく壊れるので有名なパーツですね。
どうもフリクションプレートの寿命よりもスプリングプレートの寿命の方が短い気がするのです。そして壊れるときにはいきなり壊れる・・・。
私にとっては信頼性の低いパーツなのです。
取り外して見たところ、スプリングプレートには異常はありませんでした。がっかり・・・?
しかしちょうどいい機会なので取り外します。
先日の記事に書いたのですが、今回導入するRIVERA PRIMOメカニックチョイスEXクラッチキット は、スプリングプレートを省いた構成になっています。スプリングプレートを抜く代わりにフリクションプレートとスチールプレートが純正よりも1枚ずつ多く入ったキットなのです。
全てのクラッチ盤を取り外し、クラッチシェル内を綺麗にします。
クラッチ盤が収まる溝部分は磨耗して若干の段付きがありますが、ひどい引っ掛かりはありませんでした。
クラッチハブは一度交換しているので溝も比較的綺麗でした。
この時に注意しなければいけないのは、リテイニングリングが収まる溝です。ここのエッジが丸くなっていると最悪リテイニングリングが外れ、その瞬間に走行不能になってしまいます。
分解時には要チェックです。今回は問題ありませんでした。
クラッチ盤と接する溝表面にプライマリーオイルを塗り込んでおきます。
新しいクラッチ盤、RIVERA PRIMO EXクラッチキットのスチールプレートには防錆油が塗られていました。正体不明の油なので綺麗に清掃し、脱脂しました。
スチールプレートの向きを合わせておきます。
写真では分かりにくいのですが、内側の歯のエッジが丸い方が表になります。
裏側のエッジは角が立っています。分かりにくいのですが、よく見ると分かります。手で触っても違いを感じ取る事が出来ます。
このエッジの違い、ですが、スチールプレートの製造工程において仕方なく発生してしまうもののようです。設計図にはない部分だと思います。
この向きを揃え、表側(エッジが丸い方)を内向き(エンジン側)にセットします。
表側方向に進む方がスムーズに動くので、クラッチを繋ぐ時にスムーズに動く向き、という事になります。
あえて逆向き(エッジが丸い方を外向き)に組む場合もあるようです。この場合はクラッチを切る方向にスムーズに動きます。
何れにしてもバランスよくスムーズな動作を得るために、すべてのスチールプレートの向きを揃える事が重要です。意図的にバラバラの向きに組む人もおそらくいると思うのですが、私はノーマルです。
スチールプレートの厚みは1.50 mm前後です。
フリクションプレートには向きはないようです。表裏の違いが分かりませんでした。
フリクションプレートをプライマリーオイルに浸します。プライマリーオイルはハーレー純正FORMURA+ です。
RIVERA PRIMO の説明書には「10〜15分」と書かれていたので、それくらいの時間浸しておきました。
また、理由は分からないのですが、「化学合成プライマリーオイルは使うな」との記載があります。
プライマリーオイルにはA.S.H. のギアオイル、PSE 75W-90を入れるつもりだったのですが、少し先にプライマリーオイルを全て抜いて行う作業をする予定なので、その時にA.S.H. を入れようと思います。
つまり今回のハーレー純正FORMURA+ は慣らし用という事です。おそらく初期に鉄粉などの汚れが多めに出るはずです。
高価なFORMURA+ を慣らしで使うという贅沢・・・。
クラッチ盤を組み付けていきます。フリクションプレートはオイルに漬け込んだので余分なオイルを落としながら、スチールプレートには満遍なく全体にオイルを塗りながら、組み付けます。
クラッチ盤を抑えるスプリングプレートは純正のものを継続して使う事にしました。
RIVERA PRIMO EXクラッチキットには強化型のスプリングプレートが入っているのですが、それを使うほどではないという判断です。
また、スプリングプレートはその名の通りスプリング、すなわちバネなのですが、これまで使用している純正のスプリングプレートにはへたっている様子はなく、破損する兆候も見られませんでした。
しかし、バネなのでいずれはへたってくると思います。当分先の話だとは思いますが・・・。
という事でクラッチの修理、というか部品交換が終わりました。
新品部品に交換したのは、ベアリング(レリーズベアリング)、フリクションプレート、スチールプレート、リテイニングリング3つ、分解した部分全てのガスケット・Oリング、そしてオイルです。
早速試走しましたが、クラッチレバーから感じた違和感は完全に解消されました。走行感、クラッチの切れ具合、繋がり具合、操作感もまずまずです。
無事作業終了。
ちょっと今、太陽の熱とオイルの匂いにやられて頭が痛いです。
Harley Davidson XL1200 L Sportster Low
ハーレー ダビッドソン スポーツスター ロー
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