8年ぶりのアムールリンクス

2016年タンデム旅行
6月9日 木曜日
ハバロフスク ロシア

9時にホテルのカフェで朝食。
奈奈がブニリー(クレープのようなのも)を気に入っていた。



昨日のバグを洗い流して・・・

12時チェックアウトの時間に出発。

ガソリンスタンドで給油。
店員がプレゼントしてくれたコインで掃除機を動かし、こびりついたバグを吸う。
ただバイクで走っているだけで蚊やハエ、蜂、様々な昆虫を殺生する現実。
ハンのBMWのラジエーターにこびりついた死骸は全部は取れない。

チョイの今晩の宿、カカドゥーに寄る。
ハンは先に進む。その前に昼食。
俺も奈奈も長い間1日1食で生活していた。晩御飯だけしっかり食べる。
そのことを話すとチョイは信じられないと言った表情で驚き、不健康だ、と言った。ハンもびっくりしている。
あまりお腹は空いていなかったけれど、ハンとの最後のランチ、一緒に何か食べよう。

着いたのは高級なレストラン。奈奈と二人では絶対に入らないようなところ。
店に入る前にカップルに話しかけられて一緒に写真を撮るが、女の方がこのレストランのオーナーだった。

注文した食事を待っている間、ボーイに店の中を案内される。
店にあるテーブルはすべて1本の木から出来ている、飾りの木はインドネシアの貴重な植物、500本のワイン、特別なシェフたち・・・。
メニューには寿司もあったが、定番のロシア料理を注文。

ハンとチョイには悪いけれど、贅沢なランチに色々考えてしまい、あまり食事を楽しめない。料理はどれも美味しかった。

食事が終わるタイミングで出てきたでかい魚はオーナーのプレゼント。残さず食べたらお腹いっぱい。

料金は思ったほど高くなかったが、ロシア人からしたら間違いなく高額。いったん贅沢を断ち切らなければ。
自由旅行で他人と行動を共にすることの難しさを痛感する。

ハンはロシアから北欧経由でヨーロッパに入る。船の中からここまでありがとう。お互いの無事を祈り、ハンと別れる。
チョイをホステルまで見送り、友達と会えたら連絡することを約束していったんお別れ。
いよいよ友達探し。

ハバロフスクの街をぐるぐる。街がでかくてアムール公園がどこにあるか分からん。人に聞いてもみんな知らん、と言う。きっとこの辺りは、8年前に滞在した場所と離れているのだろう。

カワサキバルカンに乗るライダーを見つけて挨拶。名前はイリア。
俺はアムールリンクスの友達に会いたい、と言って持ってきていた写真を見せると、イリアは「彼らのことを知ってる」と言って誰かに電話。電話を切ったイリアはひと言
「彼は待っている」
電話の向こうが誰かは分からないが、ドキドキする。

笑顔で「ダバイ」と言ってついてこいの仕草をしたイリアの後について走り出す。

そうそうこれこれ、この感じ。

エヴァンやみんなに会えるかな。ワクワクする。

あれ?この道はもしかして・・・









アムールタイガーのクラブ!

アナトリオ!

イリアの先導で無事にアムールリンクスのクラブに到着。
仕事が無くなるから、と言って笑い、急いで走り出したイリアに感謝。

迎え入れてくれたプレジデント、アナトリオ。しかし・・・。
アナトリオ以外に知ってる奴が一人もいない。
エヴァン、ジェーナ、ナターシャ、トーハ、イヴァン、クオースチャ・・・。
彼らはみんなクラブを去り、誰に聞いても居所が分からないと言う。みんな引っ越して今は別の場所にいるみたいだ。悲しい。

悲しすぎる・・・。
8年前に世話してくれた彼らがいなければ、このクラブに来た意味合いも薄れてくる。
クラブは人も場所も様変わりしていて、8年の年月の長さをしみじみと実感する。
あてのない旅をしているようで、昔の友達をあてにしていたことに気付く。心に空いた大きな穴が塞がらない。

落ち込んでてもしょうがないので今いるメンバーに話しかけ、サイドボックスのステーの不具合を見てもらう。

メカニックのスラワーがその場で溶接。
少し雨が降ってきて、18時になったところで作業はストップ。残りは明日。
今日は敷地内のコンテナハウスに寝かせてもらうことになった。

夜になり、食事会、というかパーティー。食べ物とウォッカで歓迎される。
プレジデントアナトリオに感謝。8年前も今日も、快く迎え入れてくれてありがとう。

アムールリンクスの信念は "All bikers welcome" 。国籍や人種、宗教、何もかも関係なく、すべてのバイカーを受け入れる。その信念は昔から変わらない。
毎年この時期になると、シベリアを走る多くのバイカーたちがこのクラブを訪れている。クラブのメッセージブックを見るとあの人もこの人も・・・。

昔の友達はもうここにはいないが、このクラブに来て良かったと思う。
アモーン、スラワー、ローマ、タターリン、シューストリーム、ユーラ、ブロンディン、彼らのワイフたち・・・。みんなはあだ名で呼び合う。奈奈についたあだ名はエンジェル。
みんなと話し、飲み交わす。めちゃおもろくていい奴ばかり。

宴は延々と続き、何度目かの乾杯でウォッカの真髄を知る。
普段より感情の動きが大きい。

朝の5時に就寝。





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